北京は英語でPeking?それともBeijing? どちらが正しいのでしょうか? 公式にはBeijingですが、インタビューした中国人留学生によるとどっちでもOK!とのことです。
これには歴史があって、詳しくは下に書いていますので読み進めてください!また北京の呼び名は過去何度も変わっています。
北京は3,000年の歴史を持っており、万里の長城など7つものUNESCO世界遺産が登録されています。北京ダックをはじめ、グルメも楽しめるので一度訪れてみたいですね。
2017年12月28日からトランジットビザ(通過ビザ)なしで144時間以内の滞在が可能になり、北京でのんびり過ごしてから本来の目的の国に移動できます。海外旅行の際は北京経由で楽しみを増やすのはどうでしょう?
北京では英語で旅行が楽しめるでしょうか?北京観光・グルメも入れて、情報盛りだくさんなのでぜひ読んでいってくださいね。
目次
北京は英語でPeking?それともBeijing?
公式な英語名はBeijingです。1950年代に中国政府と国際連合は中国語の漢字音をローマ字表記する際はピンインを採用することに決め、それ以来Beijingが世界中で正式に使われるようになりました。
それ以前はウェード式が使われていて、中国の地名もウェード式を元とする郵政式で表されており、西洋を中心に郵政式の地名が広まりました。当時、北京の英語名はPekingでした。
(ピンイン:Beijing ウェード式:Peiching 郵政式:Peking)
いまだにPekingも使われています。中国のトップ大学である北京大学はピンインではBeijing Daxueと表され、BeiDaという略称で知られています。しかし英語名はPeking Universityです。他の大学は英語名もピンインを採用しています。
北京原人はPeking Manが一般的ですが、Beijing Manと呼ばれる時もあります。北京ダックはPeking Duckです。Beijing Duckと呼ばれることはほとんどありません。
またイギリス系アメリカ人で著名な中国研究者のJonathan Spence、前香港知事のChris Pattenやタイムス社の中国特派員だったJames PringleはPekingにこだわり、Beijingに反対していました。
このようにイギリスはPekingに愛着を感じるように見えますが、世界的にも有名なBBCは他国の報道機関と同じく、Beijingを採用しています。Beijingが正式に決まる以前の北京について言及するときは、Peking, now known as Beijingなどと表現しています。
同じ「北」がつく台湾の首都、台北の英語名は以前から使用しているウェード式のTaipeiで表しています。台北をピンインで表すとTaibeiです。
日本語をローマ字で表す時に、たとえば「し」はsiなのかshiなのか、「つ」はtuなのかtsuなのかと考えます。siやtuは日本式でshiやtsuはヘボン式です。日本式は日本語の発音に基づき日本人が考案したもので、ヘボン式は英語の発音に基づきアメリカ人が考案しました。
BeijingとPekingの違いはどこから来るのだろう?という疑問の答えはsiそれともshi?の疑問を一緒にイメージすればわかりやすいです。
私が小学生の時は日本式のローマ字を勉強したことを覚えています。日本語を別の文字で表せるのが面白いと思っていました。いつからかヘボン式を知るようになって、英語の発音をより正確に表していると思いました。
日本国内の標準のローマ字は日本式を基礎とする訓令式が公式に採用されています。しかし実際には、パスポートなどヘボン式は多用されています。
siとshiはどちらが正しい?という答えはないことは、中国人留学生のJaneが言ったBeijingとPekingはどちらでもいいよという言葉とつながっているのかもしれません。
参考:
- BBS News, Rare early photographs of Peking
- The Economist, Beijing or Peking?
- The Irish Times, Beijing still relishes a taste for Peking
北京の呼び名の変遷
ご存知のように、東京の古い呼び名は江戸です。他にも名前はあったのか調べてみましたが、見つけることはできませんでした。
3000年の歴史を持つ北京は長い歴史において、何度も呼び名が変わっています。北京という名前が生まれたのは明の時代です。首都となり、名前を正式に北京と決められました。
戦国時代においては燕国の首都で燕都と呼ばれていました。唐の時代には燕京、宋の時代は燕山と呼ばれたことがありました。燕京ビール(ご当地ビール)、燕京飯店(老舗ホテル)など北京には燕が残っています。日本で言えば江戸前寿司や大江戸温泉のようです。燕探しを北京の旅の楽しみにしても良さそうです。
他にも宛平、春明、中都など多くの呼び名、別称がありました。最近まで使われていた呼び名は北平ですが、1949年中華人民共和国成立時に北京と公式に定められました。中国、北京の長い歴史を感じることができます。
北京で英語は通じるのか? 一人っ子政策と英語
若い人には、道を聞くなど基本的な英語であれば通じます。中年以上だと難しいです。というのも1979年から30年以上も続いた一人っ子政策が関係しているからです。
「産む子どもの数を減らし、もっと良い教育を与えよう」という公式なスローガンが掲げられました。一人っ子政策がスタートした頃は一世帯当たり5~6人の子どもがいて、全員が教育を受けるのは難しい状況でした。
子どもが一家庭に一人になってからはその一人の教育のためにお金をかけることができるようになり、子どもたちはほぼ皆教育を受けることができるようになりました。1990年代半ばには9年間の義務教育が整備されました。
また高校や大学卒業をする人数も増え、特に女子の増加率は高く、一人っ子政策は女子の教育の機会に大きな影響を与えました。
若い人は少なくとも皆、公教育で英語の授業を受けているため、基本的な会話であれば可能なのです。
また1979年の経済改革以降、私立学校など民間による教育を認めたことも親の教育熱を加速させました。子どもが一人であるため、親は自分の子どもに全ての分野でトップになるよう教育にお金をかけるようになりました。
英語はその中でも優先順位の高いものでした。中上流階級の親のニーズに応え、バイリンガルの学校、語学学校、英語の家庭教師サービスも増えました。
2018年4月27日のChina Dailyの記事によると、北京は中国で最も豊かな都市で世界でも5位にランクインしています(東京は3位)。また富裕層が多いことでも知られています。
わが子の英語に投資できる状況が、母国語である中国語がかなり強いとはいえ、北京の若者の基本的な英会話を可能にしたと言えるでしょう。
関連記事:中国人の英語能力は?中国人特徴と中国の英語教育はこちらから
北京では外国人が訪れる場所では英語・中国語のみならず日本語など多言語表示で案内がされています。
外国人も行くようなレストランでは英語メニューがありますが、ローカルの人だけが行くレストランには英語メニューはりません。英語メニューが置いてある割合としては半分以下のようです。
参考:
- China Daily, Top 10 wealthiest cities
- Guangyu Tan, The One-Child Policy and Privatization of Education in China
- The pie news, How does China’s one-child policy impact on education?
- Wei Huang, Xiaoyan Lei and Ang Sun, Impact of One-Child Policy on Education of Girls
北京おすすめ観光スポット(多言語OK)
慕田峪長城(万里の長城) ボデンヨクチョウジョウ(バンリノチョウジョウ)
世界遺産である万里の長城はいくつもの城から成っていて、全長6,000kmにも及びます。秦の始皇帝が北方騎馬民族の侵攻を阻止するため作られたことで知られていますが、その後何度も増築や改修されています。
慕田峪長城は北斉の時代に建設され、明の時代に改修され保存状態の良い城です。八達嶺長城に比べて空いていて、過剰に観光地化していません。
ロープウェイまたはリフトで登るか徒歩で登るか選べます。整備がされているので危険ではなく、西側のルートはなだらかで女性や子どもでも登ることができます。復路は1580mのスライダーが楽しめます。
故宮博物院(紫禁城) コキュウハクブツイン
明と清の歴代皇帝が生活した王宮の跡地です。東京ドームが約15個分入る面積で世界最大の木造建築群です。ユネスコの世界遺産です。主要な建物をまわるだけで数時間かかるので、スケジュールには余裕を持たせるとよいでしょう。
天壇公園 ティエンタンゴンユェン
明・清の歴代皇帝が天を祭った場所で、中国の宇宙観を表現しています。北京を象徴するランドマークの一つです。
この公園には多くの建築物がありますが、「祈年殿」の壮大な姿が一番目をひきます。瑠璃色瓦が使用されていて、この色は空(天)を意味しています。
天安門広場 テンアンモンヒロバ
天安門は紫禁城の門の一つです。南北約880メートル、東西約300メートルの巨大な広場です。文化大革命や天安門事件の舞台でした。
天安門の正面に国旗掲揚台があり、日の出に掲揚、日没に降納される儀式を見るために多くの観光客が集まります。
北京グルメ 現地で食べたい料理6選
Beijing Roast Duck 北京烤鸭
北京で必ず食べたい料理、北京ダックです。皮が丸焼きになるまで焼かれたアヒル料理です。皮はカリカリで肉はジューシーです。ネギやキュウリといっしょに小麦粉でできた皮に甜麵醬をつけて包んで食べます。
北京ダックは台北で食べましたが、感動的に美味しかったです。当時小学1年生だった息子も丸焼きを見て興奮して、ここが頭だ!など言っていたのを思い出しました。
Imperial Court Cuisine 宫廷菜
アワビ、ふかひれ、ツバメの巣など高級食材を使ったやさしい味付けのヘルシーな料理です。小皿でいろいろな料理が楽しめるので日本人好みと言えます。豪華な宮廷風の雰囲気のレストランも多いです。
Mongolian Hot Pot 涮羊肉
中国を支配した元王朝から広まったことからモンゴルの名前がついていますが、今では立派な北京料理です。うすぎりにした羊肉や野菜を鍋のスープにくぐらせいただく、羊肉しゃぶしゃぶです。
Fried Sauce Noodles 炸酱面
日本でもなじみのあるジャージャー麺です。麺の上に甘めの肉みそ、きゅうり、豆、もやしなどがのっています。具を麺にからませて食べます。
Boiled Lamb Tripe 爆肚
清王朝から伝わる羊の内臓の料理です。お湯でさっとゆでた内臓をゴマやしょうゆのたれにつけていただきます。日本人が焼肉屋でセンマイやミノを楽しむのと似ています。
Jiaozi Dummplings 饺子
餃子は北京以外の場所でもよく食べられていますが、北京の餃子は他とは違います。ニンニクは入っておらず、テーブルに置いてあり餃子と一緒に食べられます。日本の餃子との違いを味わうのも楽しいです。
北京おすすめ英語ツアー
北京空港からのムティアンユ万里の長城へのビザフリーの乗り継ぎツアー
トランジット(乗り換え)の時間が8時間以上あれば参加できます。空港まで迎えに来てくれて万里の長城には1時間のドライブで到着します。2時間ほど観光を楽しんだら、空港まで送ってくれます。
オーストラリアから日本に帰国する時は北京で乗り換えしたい!と思わせるツアーです。ビザなしの滞在ですので、 空港から出る際には、24/144時間のVisa-Free Transit Laneに並びましょう。
Beijing Hikersハイキングツアー
万里の長城など希望の場所・日程を選び、中国在住や観光客の外国人とハイキングができます。大変人気でトリップアドバイザーでも213件の口コミと5つ星の高評価がついています。
このツアーについて日本語で詳しく書かれているページもあります。
予約はトリップアドバイザーではできません。Beijing HikersのHPで予約をします。
中国旅行に便利な無料アプリ
Youdao Translate
音声翻訳の精度の大変高いアプリです。中国が開発したアプリで、世界レベルではまだ知名度が低いですが、中国国内では人気です。英語⇔中国語、日本語⇔中国語、両方可能です。
百度地図
Googleマップの中国版と言えます。中国人はこの地図アプリに馴染んでいるので、道を聞くときなどに便利です。中国国内はフェイスブックやYou Tube同様、Googleにはアクセスできませんので、Googleマップ以外の地図アプリが必須です。
Pleco Chinese Dictionary
世界中の中国語学習者が使用している人気ナンバー1の辞書アプリです。英語と中国語を同時に学べます。
特徴
・単語の意味を英語で説明してくれる。
・調べた単語の例文が表示され、英語で意味が確認できる。
・単語や例文のピンインが表示され音声も聞くことができ、発音が確認できる。
・手書きで漢字を書くこともできる。
・オフラインでも使用できる。
・フラッシュカード機能がある。
・繁体字にも対応していて、台湾旅行を予定している人や台湾で中国語を学習している人にも便利
PM2.5の現在
外務省ホームページによると、PM2.5を原因とする大気汚染は秋から冬にかけて深刻になるようです。数年前よりは改善傾向にあるようですが、注意が必要です。
PM2.5の最新状況を把握することや、外出するときはPM2.5対応のマスクを着用するなど対策しましょう。
まとめ
オーストラリアの大学院でいろんな国から来ているクラスメートと学んだときは、中国人と日本人は似ていると思うことがよくありました。
しかしこの記事作成を通じて、歴史の長さ、人口、国土の広さの違いから生まれる日本にはないものを感じました。
北京には中国のスケールの大きさを感じられる観光スポットが多くあります。日本ではこの大きさを体験することはなかなかないのではないかと思います。
北京には英語ツアーがたくさんあるので、色々な国からの観光客と感動を味わうのもおすすめです。
インタビュー協力者:Jane
北京のすぐ隣、河北省の出身。元中国語教師。オーストラリア・アデレード在住。フリンダース大学修士課程でTESOL(英語教授法)を専攻中。
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