中国人の英語能力は?発音・文法の特徴や英語教育情報

中国は日本よりも英語は通じるイメージがありますが実際はどうなのでしょう?中国語は英語よりも発音の種類が多く、文法も似ているから英語を学びやすいとよく聞きます。

日本の学生は内向きと言われるのとは対照的に、英語圏の留学する中国人は大変多いです。また英語を流暢に操り世界を相手に活躍するビジネスマンもメディアで目にします。

世界中で行われているテストでの結果、中国人の英語の特徴、中国の英語教育について、オーストラリアの大学院の中国人クラスメートにインタビューするなどリサーチしました。

中国人の英語能力データ(参考)

EF, IELTS, TOEFL iBT, TOEICの詳しい説明、日本を含む国・地域別ランキングはこちらから

EF EPI 英語能力指数(世界80か国の成人を対象にした国別英語能力ランキング)

中国36位

参考リンク(英語&日本語、2018年10月30日に第8回結果公開予定)

https://www.efjapan.co.jp/epi/compare/regions/cn/jp/

IELTSランキング(40か国対象)

中国34位

参考リンク(英語)

https://www.ielts.org/teaching-and-research/test-taker-performance

TOEICランキング(47か国対象)

中国30位

参考リンク(日本語)

http://www.iibc-global.org/library/default/iibc/press/2018/p098/pdf/Worldwide2017.pdf

上記のランキングは、それぞれの国のどのような層がどのテストを受験するかなど様々な要素が含まれるため、完全にその国の英語能力を反映したものではありません。

EF, IELTS, TOEFL ibt, TOEICの詳しい説明、日本を含む国・地域別ランキングはこちらから

日本と中国の英語力レベルは大体同じぐらいです。日本と中国における英語の存在感はよく似ています。母国語の存在が強く、それほど英語の必要性は高くないのです。

英語を使う機会がないというのを上達しない理由としてよく聞きますが、人口が多く、国の経済力が高いため、切羽詰まって英語を習得しなければ!ということが他の国に比べて少ないのです。

中国人が間違えやすい英語の特徴

中国人が話す英語の特徴がわかっていれば、コミュニケーションがスムーズに行くでしょう。多くの間違いは中国語と英語の違いから来ています。日本人が犯しやすい間違いと共通するところも多く興味深いです。

発音

/v/ vs. /w/

vの発音をwにおきかえます。vの発音は中国語にはありません。

We tasted a lot of wines in the winery. わたしたちはワイナリーでたくさんワインをテイスティングした。

We had a lot of vines in our garden. わたしたちの庭にはたくさんツタがある。

th

thの発音を/s/または/z/で代用します。thの発音は中国語にはありません。

I take a bath. わたしはお風呂にはいる。

I take a bus. 私はバスに乗る。

/l/ vs. /r/

/l/と/r/を区別して発音することができません。

My son had some lice yesterday. 昨日息子にしらみが出た。

My son had some rice yesterday. 昨日息子はご飯をたべた。

/n/ vs. /ŋ/

/n/で終わる単語を/n/で発音できず/ŋ/で発音します。

I had a thin slice of cheese.

I have a lot of things to do today.

/i:/ vs. /ɪ/

中国語には[i]の発音はありますが、[ɪ]はないことから正確に発音できません。

high quality meat 高品質の肉

high quality mitt 高品質の(野球の)ミット

イントネーション

中国人は単語一つ一つにイントネーションをつけるため、英語でもイントネーションを必要以上に多くつけます。

連続する子音

中国語では子音の後は母音が続くため、子音を連続して発音できません。

practice

must

ask

単語と単語を切り離す発音

中国語ではすべての単語を一語一語はっきりと発音します。同じように英語を発音すると、英語のネイティブスピーカーはロボットが話しているような不自然さを感じます。下記の連語の下線部分はくっつけて発音しますが、母国語の影響のため、区切って発音する中国人は多いです。

get up

made of

Can I~?

アクセント(強弱)

すべての単語を同じ強さで発音します。

中国語は一語一語はっきりと発音します。英語の文には弱く発音する単語と強く発音する単語があります。

I go to school to study and make friends.

下線のtoとandは弱く発音します。

中国人にとって英語の発音は楽なのかと思っていましたが、そうでもないようです。r, l, thの発音は日本人も苦労しています。

会話

中国語ではつなぎ言葉としてUmmを使うので、母国語の影響で英語を話す時もUmmを言う人が多いです。

文法

時制

中国語は動詞を時制に合わせて変えません。そのため時制を反映するのを忘れがちです。

I went shopping yesterday.ではなくI go shopping yesterday.と間違えます。またI will go shopping tomorrow.ではなくI go shopping tomorrow.と言います。

he/she, his/her

中国語は話し言葉では性別で人称代名詞を使い分けることをしません(書き言葉では区別する)。そのため、男の人なのにsheと言ったり、省略します。

名詞の単数形・複数形

中国語では名詞の単数形と複数形を区別しません。数を表す単語を付け加えます。そのため、sをつけるのを忘れます。例えばI have three cats.ではなくI have three cat.といいます。

3単現のs

中国語では主語によって動詞が変えることをしません。ですから例えば、He plays the piano every day.ではなくHe play the piano every day.と言います。

冠詞

中国語では名詞の前につけるa, an, theにあたる冠詞はありません。そのため、これらの冠詞が抜けます。例えば、I bring an apple.ではなくI bring apple.といいます。またこれらの冠詞を不要な時に付け加えます。

姓と名の順番

中国語では姓、下の名の順番で人の名前を言います。英語は下の名前、姓の順で人の名前を言うため、逆に言います。

特定の単語

・borrow/lend

・problem/question

・open/turn on

・watch/look/read,

中国語では上記のセットの単語をそれぞれ同じ1つの単語で表すため、逆の意味や違うニュアンスで使います。例えば、Do you have a question?をDo you have a problem?といいます。

英語と中国語の一番大きな違いは時制です。日本語は英語と同じく、時制によって動詞の形は変わります。中国語は時制による動詞の活用はないため、go-went-goneなど動詞を変化させるのは難しいです。大学院の英語教授法の授業でもこれは話題になりました。

she, he, his, herの使い分けはかなりレベルの高い英語能力を持つ日本人でも間違えることがあって不思議だと英語ネイティブのアメリカ人から聞いたことがあります。

私も高い英語能力を持つ中国人が間違えるのを聞いたことがあるので、性別による単語の使い分けは日本人・中国人ともやっかいに感じると言えます。

中国の英語教育

過去

1978年:英語が国立大学入試の科目となり、この時以来英語学習は大きな意味を持つようになります。

1982年:BBC制作の「Follow Me!」というテレビ番組が中国中央テレビで放送され人気を博したことは英語学習に大きなインパクトを与えました。視聴者はこの番組の会話や発音を真似しました。

1987年:CET-4という英語の試験の実施が始まりました。2年後にはCET-6も始まり、この試験に合格しなければ大学卒業時に学士号が授与されません。

1990年代:海外留学をする中国人が増加しました。学費を賄うため、TOEFL、IELTS、GREで高得点を取り、奨学金獲得を目指す競争が熾烈を極めました。

2000年代:幅広い年齢層の学習者のニーズに合った英語クラスを提供する語学学校が急増しました。ニューオリエンタルに代表されるいくつかの学校は英語教育業界で大きな存在感を示しました。

転載:

China Daily, 26th of December, 2016

http://www.chinadaily.com.cn/china/2016-12/26/content_27771940.htm

現在

約半数を占める中流以上の家庭の子は3歳ごろから英語を習い始めます。残り半数は公教育がスタートする年齢から英語を習います。中国の教育システムは日本と同じく小学校6年、中学校3年、高校3年、大学4年です。

公教育では小学校1年生から週2時間の英語の授業が始まります。1年生から必修の教科でテストもあります。中学校、高校では週4時間程度になり、大学の一般英語は週1時間程度です。

英語専攻ではない大学生が大学を卒業し学士号を取得するにはCET-4という試験に合格しなくてはいけません。このテストは中国で26年間実施されていて、毎年1800万人が受験しています。

インタビューに応じてくれたJoieによるといわゆる受験勉強やテクニックで合格できるもので、コミュニケーションなど実際の英語能力を反映するテストではないとのことです。

英語専攻の学生はTEM-4合格が課せられています。CET-4が4500語レベルに対して、TEM-4は8000語レベルです。2年生で受験し、合格しなかったら4年生時に13000語レベルのTEM-8に合格しなければいけません。英検1級が12000~15000語レベルと言われています。

日本の英語教育との比較

中国では受験を中心に英語が大きな意味を持つというのは日本と共通しているところです。また最近の傾向として経済的に余裕があれば3歳ぐらいから英語学習をスタートして小学校から英語の授業が始まるのも近年の日本と似ています。日本でも幼児から幼稚園や保育園で英語レッスンを受けたり、英語教室に通うケースは多いです。

大きく違うのは学士号取得に英語試験の合格が必要なことです。CET-4が4500語レベル、英検2級は5,000語レベルと言われていますので、専攻に関わらず大卒の中国人は全員英検2級程度の英語力は持っているということになります。中国の大学生は日本よりも英語を身につける圧力が強いと言えます。

まとめ

中国語を母国語とする人が英語を学ぶ、日本語を母国語とする人が英語を学ぶ時には共通する難しさ、違う難しさがあることがわかりました。

現在のところ、中国人と日本人の英語力は大きな差はないようです。しかし、中国人の方が世界にどんどん飛び出して積極的なので日本人も見習わないと世界から大きく後れを取ってしまう危機感を持ちました。

インタビュー協力者:Joie

発音はjoyと同じ。

四川省の省都・成都出身。四川大学卒。オーストラリア・アデレード在住。フリンダース大学修士課程でTESOL(英語教授法)を専攻中。

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