イマージョンという言葉を聞いたことがあるでしょうか?日本にも英語のイマージョン教育をしている学校があるので、耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか?
イマージョンとは英語でimmersionです。immerse(浸す)という動詞の名詞形です。目標の言語で算数や理科など他教科も学習し、その言語に浸れる環境で習得を目指すのがイマ―ジョン教育です。
この記事では6つのバイリンガル(イマ―ジョンを含む)教育とESL(英語を母語としない生徒のための英語クラス)のモデルを示し、英語ネイティブの平均的な読解力をいずれは上回れるモデルがあるのか示していきます。
6つのバイリンガル教育・ESLモデル
①Two-way developmental bilingual education (BE)
双方向バイリンガル教育・バイリンガルイマージョン
英語ではtwo way bilingual educationとかbilingural immersionとも呼ばれます。二言語で教科指導が行われます。クラスメートは半分が片方の言語のネイティブスピーカーでもう半分はもう片方の言語のネイティブスピーカーです。
例えば英語とフランス語のバイリンガル教育をする学校で、クラスメートの半数が英語ネイティブスピーカーで、残り半数がフランス語ネイティブスピーカーです。
自分のネイティブの言語で学ぶ機会をキープしながら、第二言語や違う文化も学ぶことができます。
自己肯定感も高めつつ、異文化理解もできる環境です。人種や国籍に関わらず、二言語を操れるようになります。
②Late-exit bilingual education and ESL taught through academic content
Late-exit bilingual educationは、移行バイリンガル教育(transitional bilingual education)の2つのモデルのうちの一つです。
移行バイリンガル教育というのは、第一言語を通して得た知識や言語スキルは第二言語でも活用できるという考え方の教育です。
クロールが泳げるようになると、背泳ぎに挑戦するとき、クロールの足や手の動きを利用でき、楽に泳げるようになるのと似ています。
②のモデルは英語ノンネイティブの生徒を2言語による教科指導と第二言語としての英語を教えるESLの授業を5~7年間と長い時間をかけます。幼稚園から6年生ぐらいまで続きます。プログラムを終えると英語だけのクラスに入ります。
またこのモデルは維持バイリンガルプログラムとも呼ばれ、第一言語と英語の両方をバランスよく組み合わせます。プログラムの初期は、母語による教科指導が9割を占め、英語は一割です。
プログラムが進むにつれて英語の割合が増えていき、プログラムが終わるころには英語が9割になっています。
母語で読み書きができるようになったら、英語の読み書きを教える、もしくはある学年から同時に二言語の読み書きをスタートさせるなど、プログラムによって違いはあります。
二言語ともに聞く・話す・読む・書くの能力が高くなり、教科学習も十分に二言語でできるようになったら、英語のみで行われているクラスに入ります。
ですからプログラムを終えるころには完全なバイリンガルになっています。
③Early-exit bilingual education and ESL taught through academic content
③は移行バイリンガル教育(transitional bilingual education)のもう一つのモデルです。
②との違いは期間です。②は5~7年かけるのに対し、③は短く1~3年です。英語ネイティブが集まるクラスに早く入れることが目標なので、第一言語を指導に利用するけれど英語習得に重きを置いています。
第一言語のレベルには重きを置かれないので、完全なバイリンガルになってプログラムを終えるというわけではありません。
③のモデルは④のモデルと違い、英語は教科学習などを通じて習得します。
④Early-exit bilingual education and ESL taught traditionally
この④のモデルが③と違うのは英語の学び方です。昔ながらの教え方で先生中心の授業です。生徒は先生の説明を聞いて文法や語彙等の知識を得ます。
⑤ESL taught through academic content using current approaches
このモデルは、現在主流となっている指導法で英語を学びます。現在主流の指導法とは生徒中心でコミュニケーション能力を重視したアプローチです。
⑥ESL Pullout-taught traditionally
これは所属しているクラスを一時的に抜けて、英語のクラスをクラスメートとは別に受けるモデルです。先生から文法や語彙などの説明を聞く授業を受けます。
後に英語ネイティブの平均英語読解力を上回ったモデルは?
こちらのリンクのグラフを見れば一目でわかります。黒のまっすぐの横線が英語ネイティブの平均読解力です。
http://www.teachingforbiliteracy.com/wp-content/uploads/2014/09/Collier-and-Thomas-graph.doc
その黒の横線を上回ったのは①の双方向バイリンガル教育と②の期間の長い移行バイリンガル教育&ESLでした。
残りのモデルは一時的に読解力が上がるのですが、その後下がり平均を下回っています。
この結果から第一言語の言語スキルを高めると、第二言語のスキルも高くなるということを示しています。
私が留学していたオーストラリア・アデレードで①の双方向バイリンガル・イマ―ジョン教育をしている学校は2校だと先生から聞きました。
一校はフランス語と英語のバイリンガル・イマ―ジョンスクール、もう一校は中国語と英語のバイリンガル・イマ―ジョンスクールです。
日本語と英語のバイリンガル・イマ―ジョンスクールはオーストラリア国内ではメルボルンにあります。
日本でも日本語と英語のバイリンガル・イマ―ジョンスクールはあります。評判など詳しい情報は持っていませんが、静岡にある加藤学園は昔からバイリンガル/イマ―ジョン教育を実践している学校です。
まとめ
イマ―ジョン教育・バイリンガル教育・ESLは、英語に興味がある方なら耳にすると思いますが、色々な種類があることがわかりました。
また日本語を高めることが高度な英語力につながることもはっきりとわかりました。
英語に力が入りがちですが、国語を大事にすることが大前提だと確認できました。両方の言語で読み書きもできるようになって欲しいと思いました。
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