年齢によって英語の学び方は違うと皆さんわかっていらっしゃると思います。
始めるのは早い方が良さそう、そんなに苦労しなくてすみそう、子どもにはいつの間にか英語話せるようになってたとなるのが理想だと。
じゃあ何歳から?0歳からか3歳からか?日本語のアウトプットが十分に出始めてからか?
言語を習得したり、バイリンガルになるには年齢や環境でプロセスなど特徴があります。今回の記事では4パターン(言語習得2パターン・バイリンガルになる2パターン)を紹介していきます。
目次
はじめに
昨日の記事で、おうち英語プロの英語ママさんよりコメントと第二言語習得に関する記事のリクエストをいただきました。
第二言語習得に関して、オーストラリアの大学院で学んだものの、ブログで皆様にシェアするためには、もう一度復習したり調べたりしていました。
第二言語習得(SLA: Second Language Acquisition)について学ぶ時、必ず比較されるのが第一言語習得(FLA: First Language Acquisition)です。
日本の一般的なケースだと、日本語は生まれたときから自然に習得していくのでこれが第一言語習得になり、英語が第二言語習得になります。
新生児から英語のインプットを受けたとしたら、英語も日本語も第一言語になり、第一言語習得のプロセスか?
日本語のインプットが圧倒的に多くて、英語のインプットが少なければ英語は第二言語となり第二言語習得のプロセスになるのか?
一歳だったら?二歳だったら?例えば一歳でアメリカに行ったら第一言語習得なのか、第二言語習得なのか?
うーん???となる訳です。そこで色々調べたところ、初めてのバイリンガルに関するキーワードに出会いました。それをこの記事では紹介していきます。
現段階でわかったことということで皆様にシェアさせていただきます。また足りないことや新たにわかったことは続編でお伝えいたします。m^^m
言語習得とは?
人間がコミュニケーションをとるために、話したり書いたりできるようになるプロセスです。学者によって主張しているそのプロセスは違います。
行動主義者で知られるスキナー(1904-1990)は言語習得・発達は行動から学ぶと主張しました。行動というのは、例えば赤ちゃんが「ママ」とお母さんに言ったらお母さんは喜んで笑顔を見せたり抱きしめてくれます。「マンマ」と言ったらご飯をくれます。
身近な人からごほうびをもらったり、おこられたり、その人たちの行動を観察したり真似したりすることで言語を習得するという考え方です。
これに対してチョムスキー(1928)は、人間は生まれつき言語を習得する能力を持っている、脳に組み込まれている(hard-wired)から、子どもは周りの少しのサポートで自然に言語を身につけていくと主張しました。
一つ目の理由として、子どもは自分で自由にことばを組み合わせて創造的に話してみるので最初は間違えます。そして段々と正しく話せるようになっていきます。
また、文化や言語の種類に関わらず、子どもは同じように言語を習得していくからです。
さらにはその言語の刺激が少なくても、短期間で話せるようになるので、くもがくもの巣をつくるとか、鳥が冬には南に飛んでいくとかと同じことだとしています。
臨界期仮説という言葉があります。近年研究者たちは、この臨界期は本当にあるのかどうか証明しようとしていますが、まだはっきりとわかっていません。
臨界期仮説というのは新しい言語を学ぶのにはタイムリミットがあって、その時期を過ぎると習得するのがかなり難しくなるという仮説です。
第一言語習得VS第二言語習得~違うこと・同じこと
第一言語習得の例として2歳のサラちゃんに登場してもらいます。サラちゃんのお母さんはアメリカ人のママで、生まれたときから英語を聞いて育っています。
第二言語習得の例として9歳のそらくんに登場してもらいます。そらくんは8歳まで日本で育って両親とも日本人です。
お父さんの仕事の都合でアメリカの小学校に行くことになりました。日本ではそれほど英語はやっていませんでした。
第一言語習得と第二言語習得の共通することから説明します。
2人ともどうやって英語を習得するかを予想できます。サラちゃんは喃語、二語文などをへて文が話せるようになります。そらくんはまずは基本的な単語や文が言えるようになってから読み書きに移ります。
2人とも完全にできるようになるまで言葉や文法の間違いをします。
2人ともヒントや状況を理解しながら英語を学びます。たとえばappleをさらちゃんはお母さんに食べさせてもらうことでおぼえるし、そらくんはフラッシュカードで覚えるでしょう。
会話のキャッチボールを通じて学びます。サラちゃんはお母さんとやり取りをして、そらくんは先生やお友だちとのやり取りをします。
話すことは聞いて理解することより難しいです。
周りの人に教えてもらうことでレベルが上がります。間違えたことを訂正されて、正しい言い方を教えてもらいます。
前に持っていた知識は言語レベルを高めるのに役に立ちます。サラちゃんは小学校に入学する前にすでに英語が話せてある程度ボキャブラリーがあるので、学校の英語の授業が理解しやすいです。
そらくんは日本で理科が得意だったら、アメリカで理科を勉強するときもその知識で得意になるでしょう。
次に第一言語習得と第二言語習得の違いについて説明します。
サラちゃんがしゃべり始めたころに言うことばはwaterとかwant waterで一語・二語文です。そらくんはCan I have some water?と完全な文で最初から言えます。
サラちゃんは生活の中に英語がありますが、そらくんは学習者として学校で英語を学ぶことになります。
サラちゃんは第一言語である英語がベースの文法となり、そらくんは第一言語が日本語なので日本語がベースの文法です。
サラちゃんは文法を教わらずとも自然に理解して使えるようになり、そらくんは例えば動詞の活用表を先生からもらって覚えます。
サラちゃんはお母さんの英語を一日中聞いて、無意識に英語を身につけるのに対し、そらくんは先生から教えてもらって、意識的に正しい発音や文法を学習します。意識的な学習は努力が必要とされます。
バイリンガルとは?
二言語を使うことや二か国語を自由に使える人のことを指します。またテレビの二か国語放送のことも指します。
人にフォーカスすると、そのレベルやバックグラウンドは様々です。またバイリンガルの種類については今後の記事で取り上げようと思います。
同時バイリンガリズム Simultaneous bilingualism
Simultaneousはジーニアス大辞典では「(…と)同時の,同時に起る(存在する)」とあります。
新生児からの二言語使用でバイリンガルになることです。以前は二言語に生まれたときからさらされると、言葉が遅れると言われていましたが一言語の子と同じスピードで言語を習得することがわかっています。
参考:
Portland State University, Simultaneous Bilingualism
一歳半から英語を始めた私の息子の例で言うと、ぞうが日本語でelephantが英語であることがわかってない、他にもいくつかそういう単語がありました。確か2歳ぐらいから自然とどの単語がどちらの言語なのかわかっていったように思います。
どの時期にどのような発話があるのか、区別できるのはいつぐらいからなのかもまたブログで取り上げていこうと思います。
一歳を境に外国語の音を聞き分ける能力がだんだん低くなっていくという研究結果があります。その結果を考えると、少しの時間でもいいので0歳から英語を始めていたほうが良いということになります。
関連記事:バイリンガルに機械を通した英語を聞くだけでなれるのか?
連続バイリンガリズム Sequential bilingualism
Sequentialはジーニアス大辞典では「(規則的に)連続して起る」とあります。
第一言語を学んでから、ざっくり3歳以降に第二言語を学び始めて、二言語使用でバイリンガルになることです。
上で書いた第一言語VS第二言語で取り上げたそらくんはこの連続バイリンガリズムの例になります。
そらくんの場合、アメリカで日本語を保持する環境があるかで、日本語の発達が続くか止まるかが決まります。
参考:
Portland State University, Sequential/Successive Bilingualism
Sequential bilingualismは連続バイリンガリズムと訳されるようなので、見出しもそうしました。
日本で意図的に三歳から英語は始める、それまでは日本語のインプットだけとなると、自分の感覚では「連続」よりは「順次」の方がしっくりくるのですが、皆様はどう思われますか?
0歳より、3歳以降に第二言語を学び始めた方がのちに学校で高い成績を修めるようになるという研究結果を見つけました。
まとめ
この記事を書くのに2日かかりました。←決してヒマな訳ではありません。でも全然足りないし、このことは今後も調べていきたいと思っています。
バイリンガルについては、ある程度知識はあったものの調べてみて思ったのは、バイリンガルって深い…ということでした。
この記事では同時バイリンガリズムと連続バイリンガリズムを取り上げました。じゃあ英語を始めるのは新生児からか?3歳からか?という疑問が出てくると思います。
私の意見は今のところバイリンガルに育てるには、0歳から始めた方がいいがやりすぎず、3歳ぐらいから本格的に…です。
バイリンガルに関して、他にもキーワードをたくさん見つけましたが私もまだまだ勉強中です。
皆様の知識や経験、感想などコメント欄にいただけると嬉しいです。それをもとに自分ももっと調べて皆様にシェアしたいと思います。
返信は無難なものになってしまうかもしれませんが、お礼はお伝えしたいと思っております。
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コメント
とても面白く勉強になりました。
バイリンガルって本当に深いですね。
息子さんが1歳半から英語をやり始めたそうですがどんなことをなさっていたのですか?
とても興味があります。
まんまるこさん
こんばんは。コメントありがとうございます!!最新の記事で回答させてもらいました。良かったら読んでくださいね。
https://eigo-master.info/reason-son-enjoy-school-australia-english/
Carley