バイリンガル教育というと、日本語も英語も話せてかっこいい!というポジティブなイメージと、日本語も英語も中途半端になってしまうのでは?というネガティブなイメージがあります。
日本語が中途半端になってしまう…日本でのイマージョン・バイリンガル教育で、その心配はないようです。第二言語だけでなく母語や他教科の学力が伸びることもわかったので合わせて紹介していきます。
「日本語も英語も中途半端になる」はどこから来たか?
両言語が年齢相応以上のレベルに達している場合はバランス・バイリンガル、一つの言語は年齢相応まで発達しているがもう一つの言語は達していない場合が偏重バイリンガル、両言語とも年齢相応に達していない場合はダブル・リミテッド・バイリンガルと言います。
「日本語も英語も中途半端になる」はこのダブル・リミテッド・バイリンガルの懸念から来ています。
例をあげます。英語は全然話せなかったゆうきくんがお父さんの仕事の都合でアメリカに行きました。最初の二年間で英語の会話力はかなり伸びました。
英語読解力も伸びていますが、会話力に比べると伸びは小さくまだ年齢相当には達していません。3年が過ぎると英語に押されて日本語力はだんだん落ちてきます。
この時期にテストをすると、日本語力も英語力も年齢相当には達していないので、一時的ダブル・リミテッド現象が起こっていることになります。
アメリカ滞在をそのまま続けると英語読解力も学年相応に近づいていきます。日本語力はなだらかに下降していきます。
またバイリンガルのネガティブなイメージとして、第二言語習得のプロセスで母語が失われる減算的バイリンガルがあります。
母語は維持した上で第二言語を習得する加算的バイリンガルを目指していくことが大切です。
イマージョン・バイリンガル教育を受けた生徒は学力が高い
以前の記事で、イマージョン・バイリンガル教育を受けた生徒は英語ネイティブより高い英語読解力を持っているという調査結果について書きました。
関連記事:イマージョン・バイリンガル教育はネイティブの英語を上回れるか?
別の研究結果を紹介します。アラスカにある日本語のイマージョン教育の公立学校に通う4年生と7年生が標準学力検査を受けました。こちらの学校では地元の教育カリキュラムをベースに半分の授業を日本語で行っています。
アラスカの同じ地域にあるイマージョンではない公立学校の生徒と比較して、英語の読み書き、算数、理科のスコアは圧倒的に上で、社会は同じぐらいでした。
参考:Akira MUKAI, Simon M. DOWNES, and Jun SATO
Academic Achievement of English-Speaking Students in a Japanese Immersion Program
ちなみにこちらの参考文献は日本のバイリンガル教育を研究されたサイモン・ダウンズ博士の論文です。サイモン先生の研究はすごく勉強になるので、これからもしっかり読んでいきたいと思っています。
カナダではフランス語のイマージョン教育を受けた生徒も普通のモノリンガル教育を受けた生徒に比べて高い英語の読解力を獲得しました。
日本はどこに行っても日本語なので、英語だけではないバイリンガル教育なら、日本語が不十分なダブル・リミテッド・バイリンガルになる危険性はありません。
逆に、上に書いた調査結果が示すように、日本語だけの学校に比べて、英語はもちろん国語や他教科も高い学力を身に着ける可能性が高いです。
どんなイマージョン・バイリンガル教育をすればいいか?
日本語を維持・向上させながら、英語を習得する加算的バイリンガルを目指すために、日本語と英語のバランス、いつ英語を導入するか、どの教科を何語で学ぶかなどの問題があります。
ランバート・タッカー(1972)によると、伸ばしにくい言語を優先的に使用し、社会的に優位な言語と同じぐらいのレベルに達したら2言語の教科学習を始めるといいというガイドラインを示しています。
日本で日英バイリンガルを育てる場合、伸ばしにくい英語を優先的に学び日本語と同レベルになったら、日英で教科学習を始めるということになります。
これを読んでなるほどと思いました。私はこれまで0歳から英語を始めるけどやりすぎず一日1時間程度、日本語のアウトプットが安定してきた3歳ぐらいから本格的に始めるといいとブログで書いてきました。
本格的にというのは語りかけ・絵本の読み聞かせ・動画・かけ流しなどすべてのインプットは少なくとも一日3時間以上です。大量のインプットをする時期が一定期間ないと自分で使えるレベルまではなかなかたどりつかないです。
それを考えるとプリスクールや英語幼稚園は理にかなっています。おうち英語をがんばれるなら、日本の幼稚園・保育園の良さを体験させてあげる方がいいかなと個人的には思います。
小学校低学年で英語を大量に使用してから、日本語の教科学習をすることを私は考えたことはなかったのですが、いいかもしれません。ただ日本語は漢字の読み書きは大変なので国語の時間は低学年から確保した方がいいでしょう。
これを日本が公教育で実現するには、教員の養成もありますしハードルが高そうだなと思います。そもそも小学校低学年の国語以外の授業が英語で行われるというのは想像が難しいというか…。
国語の読解力や他教科も伸びるなら、デメリットはないので理想的です。実現したらすごいですね!
まとめ
日本でイマージョン・バイリンガル教育をしている学校は加藤学園など何校かありますが、わが家は今のところ転校の予定はないです。
公教育ではすぐには実現しそうにないので、とりあえずは息子の英語に関してはコツコツおうち英語でがんばろうと思います。
参考:
中島和子 バイリンガル教育の方法 12歳までに親と教師ができること
↓かなりおススメの本です★
完全改訂版 バイリンガル教育の方法 (アルク選書)
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